吃音ノート

吃音および関連分野について考えます

吃音と歌

インターネットで「吃音について歌われた曲はありますか?」という質問を見た。
調べてみると、ラップには吃音に関する歌があるようだ。

吃音症の高校生ラッパー「達磨さん」が歌っている。

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また「俺らよりダメな奴っているの?」さんも歌っている。

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さらに調べると、Scatman Johnという吃音もちのラッパーがいて、吃音者を励ますために歌っている。
 Scatman - Scatman John(日本語歌詞付き)をクリックすると彼の歌が再生される。

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彼はまた社会へのメッセージも歌っているようだ。
Scatmanを知ったのは収穫だ。

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これらを見ると、一生懸命に生きている吃音者がいることが実感される。

私はラップはほとんど聴かない。
ラップで吃音が軽減されるのだろうか?
わからない。

今は亡き講談師の田辺一鶴(たなべいっかく)は吃音者だった。
彼に講談を習ったある吃音者が「話は勢いだ」といった。
それはわかる気がするが、しかし彼の吃音は完治していなかった。
注意深く観察すると、難発があった。
彼によると、一鶴師匠の吃音も完治していなかったという。

詩吟をやっている吃音者のグループもいた。
大きな声で漢詩などを吟じていたが、それでも彼らの吃音は治っていなかった。

問題は講談の勢いや詩吟の吟詠を日常の会話に適用できるのかということではないだろうか?
ラップについても同じことがいえるのではないだろうか?
日常の会話から遊離した練習法は吃音軽減にあまり有効ではないように私は思うが、どうだろう?

歌う時は吃らないとよくいわれる。
歌う時のことばの一音一音の継続時間はメロディに従属しており、日常の発話の一音一音の継続時間が0.15~0.2秒であるような定速性をもっていない。
そもそも歌う時と話す時の脳の制御機構は異なっていると私は思っている。
かつ吃音は日常の発話の定速性(モーラの等時性)を守る脳の制御機構によって引き起こされるものだと思っている。
だから、歌えば吃音は治るという説については、疑っている。

ただし通常の発話にはイントネーションやプロミネンスのような音楽性がそなわっている。
これらの音楽的イメージは発話運動のイメージを具体化することに役立つので、大いに取り入れたらよいと思う。
練習するのであれば、通常の発話に即した練習をするのがよいと思う。

ギンギラギンのエレキを聴いて吃音をぶっとばせ!
という口実で、いかした曲を入れよう。

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