吃音ノート

吃音および関連分野について考えます

連発について (1)

吃音には、音を繰り返す連発、音を引き伸ばす伸発、音を発することができない難発という3つのタイプがある。
いずれも現在の運動部分が継続し、次の運動部分へ移っていくことができないという共通性がある。
これは私の解釈であり、難発については異論があるかも知れない。

ここでは私の体験に基づいて連発の典型例を記述する。
記述には私の解釈が含まれる。
その解釈は推測されたものであるが、推測の背後にはある組織的な考えがある。

タマゴは音韻記号で/tamago/と書き表されるが、連発の典型例では/t(a)/が繰り返される。
ここで/t(a)/は、母音/a/の口型になっているが、母音/a/が欠落していることを表すことにする。
/t(a)/は1拍の長さをもつ。

この/t(a)/の連発は反射的に起きる。
予期しなくても起きることもある。

ところで、タマゴにおける連発は/t/を繰り返すものではない。
/t/を繰り返すことで/a/へ移行できないということではない。
タマゴにおける連発は母音の欠落/(a)/を含む/t(a)/を繰り返すものである。
失敗を含む運動を繰り返すものである。

ここで、仮に連発とは/t/を繰り返すことであるとすると、何故/t/を繰り返すのだろう?
それをどう説明するのだろう?
また通常の連発では1拍の長さをもつ運動が繰り返されるから、/t/が繰り返されるのではなく、/t(a)/が繰り返されると考えられる。
一方、連発とは/t(a)/を繰り返すものであるとすると、まず失敗/t(a)/が起き、それを感知した脳が失敗に対する反応として2次的に引き起こすものが吃音であるという見方につながる。
連発は/t/の繰り返しか、それとも/t(a)/の繰り返しかの判断は、吃音は1次的なものか、それとも2次的なものかの判断につながる。
私は吃音はすべて発話運動のある種の失敗をきっかけに2次的に起きるものであると考えている。

失敗を感知した脳は何故同じ失敗を繰り返すのか?
これは吃音の核心につながる疑問だが、これについては題を改めて書く。
ここで書くとまとまりのない文になるので、書かない。

次回は連発のきっかけになる発話運動の失敗を詳しく書こうと思う。